『GO TO にっぽん! ~コロナ禍が明けたら一番に見たい風景~』第27弾 「ガナゾー」に出会う海遊び(神保 清司)

房総半島南端、東京湾の入り口を見守るように鎮座する南房総国定公園大房(たいぶさ)岬。黒潮の影響を受ける海に囲まれた魚つきの森でありながら、江戸時代は黒船を警戒する台場となり、大戦時は首都東京を防衛するための拠点として秘密裏に要塞化された歴史もあります。現在では千葉県立大房岬自然公園として多くの人が憩いと安らぎを求めて訪れる地となりました。

突然ですが、皆さんは「ガナゾー」という名前を聞いて何を想像しますか?海辺に佇むおじさん?田舎で人気の居酒屋?いいえ。「ガナゾー」は潮が引いた磯場の潮だまりや、夜の漁港の岸壁を照らすと歩いています。私たちに見つかるとゴロン!と転がり隠れます。

また姿を現しては、こちら気配を感じるとジュコッ!と大きな音を立てて家に入ってしまいます。そう。その正体はオニヤドカリ属の大型のヤドカリなのです。

房総半島南端ではガナゾーと呼ばれ、対岸の三浦半島ではアマガニという呼び名もあるようです。ガナゾーという名前の由来はわかりません。サザエの殻に入っていることが多く、見つけると容易に掴むことが出来ます。

 

このガナゾー、食べられます。私がその昔、漁師のおじいさんに聞いた話。「ガナゾーはよー!つかめえたら、コンクリの壁にガーンと投げてよぉ!殻割っちまって中身だすんだおー!そしたら茹でてよー、ケツんところをバクっと食うとな、口ん中がスース―すんだ!そんときによぉ!タバコを吸うと美味えんだお!やってみらっしぇえよー!」ということでやってみました。食べごたえのある大きなお尻の身はうっすらカニの味。そして普段吸わないたばこを燻らすと・・・・。あまりお勧めはしませんが、是非「ガナゾー」には会いに来てみてください。ご案内いたします。

NPO法人千葉自然学校 /神保清司】

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