『GO TO にっぽん! ~コロナ禍が明けたら一番に見たい風景~』第12弾 「飛騨古川」(平野 祥)

ここは私がガイドとして働いている飛騨古川という町です。
その昔、城下町として築かれたこの町では今もその名残をたくさん見ることができます。例えば写真中央下の小さく細い川。この川は瀬戸川といい、
武家地と町人地を分けるためのボーダーラインとして町中に人工的に引かれたものです。
また写真右側の大きな建物は、町人たちが家の大切なものをしまっておく倉庫として
建てた白壁土蔵で、飛騨古川では瀬戸川沿いに今も多くの白壁土蔵が並んでいます。

そんな歴史的に価値の高い美しい町並みをもつ飛騨古川ですが、
この町の魅力はこれだけではありません。
それは「住民目線でのまちづくり」が盛んに行われてきたということです。
町が誇る歴史的景観を維持しながらそこに暮らす人が暮らしやすいように町を整備する、という先進的な動きが、この町では50年ほど前に始まり今も続いています。

何より素晴らしいのは、飛騨古川は決して「観光のために整えられた町」ではなく、
あくまで住民が暮らしやすいように町を整備し景観が保たれた結果、
観光客が程よく訪れる落ち着いた町になったということです。
そのため飛騨古川を歩けば、元気よくあいさつをしてくれる下校中の小学生や、
新しいけれど周りの景観に馴染むように建てられた建物、秋葉様(火をつかさどる神様)
に火を灯しにやってくる地元の人、アットホームな雰囲気の居酒屋などなど、
住民の想いと地域の暮らしを感じられる要素で溢れています。

まるで飛騨古川の住民になった気持ちで町を巡ればたくさんの発見と感動に
出会えるはずですよ。

【エコセン団体会員 / (株)美ら地球 平野 祥 】
(2021年7月2日配信 メルマガ掲載)

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