『GO TO にっぽん! ~コロナ禍が明けたら一番に見たい風景~』第25弾 海の中(大浦 佳代)

わたしの「今、いちばん見たい風景」、それは沖縄県宮古島の海の中。
ただし、遊びのダイビングではなく、「追い込み漁」で体験するドラマチックな風景です。
島の北端、狩俣という集落に残る追い込み漁は、2隻の漁船と8~10人の漁師で行う素潜り漁です。

まず水深10メートルぐらいまでの海底に袋状の網をしかけます。
そして、その両端にのびる長いロープに沿って漁師が泳ぎながら魚をおどし、
1時間ほどかけてロープを絞り込んで魚を袋網に追い込みます。

漁のクライマックスは、漁師たちがタイミングを合わせて袋網の口を閉じる瞬間。
それまで不安そうに袋網の中を泳いでいた魚たちが、ピンチを察して暴れだす。
海水はパニック状態の魚が放つ糞や粘液で濁り、はがれたウロコがきらきらと舞う。
海中の網の外で見守るわたしには、魚たちの絶体絶命の叫び声が聞こえるような気さえするのです。
これは、他の漁法では体験したことのない、心にぐっと迫る衝撃です。

【エコセン世話人 / 海と漁の体験研究所 大浦 佳代】

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