サステイナブル・ツーリズムとは?
サステイナブル・ツーリズムは、「持続可能な観光」のことであり、現在だけではなく未来を含めた地域の経済、社会、環境への影響を十分に考慮し、ツーリストや企業、環境、受け入れ側の地域のニーズに対応した観光のことです。(参考:国連世界観光機関UNWTO駐日事務所ホームページ)
言い方を変えると、地域の資源である「自然」や「文化」「伝統」、「そこに暮らす人々」を活かして、外からの旅行者を受け入れ、地域経済を発展させること。同時に「自然環境」や「文化・伝統」を守っていくこと。そういったツーリズムということができます。
国際基準に準拠した世界水準の観光地運営を考える
国連「持続可能な開発目標(SDGs =Sustainable Development Goals)」は2016年から2030年までの世界全体の開発目標です。これは観光においても例外ではなく、2017年が国連「開発のための持続可能な観光の国際年」に指定されるなど、現在「サステイナビリティ(持続可能性)」が世界共通のキーワードとなっています。
特定の場所に人が集中し過度な環境負荷がかかる、地域本来の持つ魅力を伝えきれない、大量の通過型のスポットとなりごみだけが残される、いわゆる消費収奪型の観光となるなど、これまで地域の持続可能性を損なう観光が問題になってきました。地域の文化や歴史遺産、自然環境を守りながら観光の質を保ちつつ、教育・福祉・コミュニティの活性化などの課題とつなげ、観光を手法に地域づくりに貢献することが重要と考えられます。
「サステイナブル・ツーリズム国際認証」は、国連が進める観光での持続可能性を指標化したものです。なにをもってサステイナブルとするか、具体的にどんな活動が伴うのかを、世界基準のチェック項目で示しています。国際年を機に今後求められる「持続可能な観光地域づくり」とは何か、どう取り組んでいくかを考えていきます。
日本エコツーリズムセンターのこれから
日本エコツーリズムセンターでは、2014年度からサステイナブル・ツーリズム国際認証の研修と国内での普及活動を、(独)環境再生保全機構による地球環境基金の助成を受けて取り組んでまいりました。
当初、GSTCや国際認証のクライテリアはわたしたちも初めて触れるものでした。しかし、このような世界的な動向を日本に伝え広めることは社会的にも求められるものと思われ、認証制度を国内につくり実際に機能させていくことも可能だろうと考えていました。
ところが、実際にプロジェクトをスタートし、セミナーやフォーラムを企画してみると、「サステイナブル・ツーリズム」という概念や言葉は難しいと指摘されることが多く、日本の社会にはいまだ受け入れの土壌が整っていないことに気づかされました。
「サステイナブル」や「持続可能な」という言葉自体が一般には難解に聞こえ、また制約にしばられると受け取られるきらいもあるようでした。
少しでも国内の理解を進めようと、2014年度から年に1回、全国フォーラムを開催してきました。
第1回は和歌山県田辺市での「熊野フォーラム」、第2回は群馬県片品村での「尾瀬・片品フォーラム」、第3回は秋田県仙北市での「秋田フォーラム」、第4回は長崎県の島原半島(島原市、雲仙市、南島原市)での「島原半島フォーラム」、そして2018年度には活動の総まとめとして「東京フォーラム」を開催しました。
第4回目までの開催地はいずれも、長年にわたり多くの観光客を受け入れながらも自然や文化を守ってきた、日本を代表する地域です。毎回、開催地の行政や団体などと一緒に、地域性に寄り添ったプログラムを練り上げてきました。そして秋田フォーラムからは、地元市町村による「持続可能な観光地域づくり宣言」を日英の2言語で発表することもできました。
日本エコツーリズムセンターは、サステイナブル・ツーリズム国際認証の理解と普及、そして各地域における「観光を取り入れた持続可能な地域づくり」が非常に重要だと考えています。さらに、さまざまな地域が国際的な認証の取得を望む際に、積極的な支援ができればと考えています。
訪日外国人旅行者が急激に増加し、既存の観光地のみならず、自然や文化、暮らしを含め「日本らしさ」を求めてさまざまな地域を探訪する旅行者のニーズも高まっています。
一方で、人口減少と高齢化、生業の存続が危ぶまれる地域は増加し、その対策としてインバウンドに積極的な地域も多くなっています。しかし、単に入れ込み客数や観光コンテンツを増やすのではなく、あくまでも地域が持続する活力を得て、住む人も訪れる人も幸福感を得る仕組みをつくるには、サステイナブル・ツーリズムの考え方が役立つのではないでしょうか。
サステイナブル・ツーリズムに関心を寄せる地域は確実に増え、社会の注目度の高まりも感じられます。当センターではこれからも、国際的な流れを敏感にキャッチし、地域のニーズや実情をふまえつつ支援を続けていきます。そして、サステイナビリティの国際基準を取り入れた「持続可能な観光地域づくり」が、日本各地に広がることを願っています。
2008年、国際自然保護連合「第5回世界自然保護会議」において、世界初のサステイナブル・ツーリズム(持続可能な旅行形態)のための基準「世界規模での持続可能な観光クライテリア(GSTCクライテリア)」が発表され、世界中でGSTC*が定める国際基準を満たす認証制度づくりが進んでいます。日本国内では、こうした認証・認定制度が普及しておらず、各地で「エコ」や「ほんもの」の名を利用して集客・実施される観光形態は、消費者の混同を招くだけでなく、取り組み内容や提供するツアーの質を見極める事は難しいのが現状です。
*GSTC=Global Sustainable Tourism Council(グローバル・サステイナブル・ツーリズム協議会
*GSTCトレーニングについてはこちら
島原半島フォーラム報告書
【釜石市で開催!】サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム
サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム 開催! 観光庁で開発が進んでいる「日本版持続可能な観光指標」も準拠している、 持続可能な観光の国際基準・指標のGSTC(グローバル・サステイナブル・ツー […]
【長野で開催!】サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム
≪終了しました≫ サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム 開催決定! サステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の国際基準をじっくり学ぶ「サステイナブル・ツーリズム国際認証GSTCトレーニン […]
「サステイナブル・ツーリズム入門編」連続講座【観光×SDGs】
【観光×SDGs】~観光と地域づくりに通じる国際基準を学ぼう~ 今やSDGsは社会的に浸透し、さまざまな業界がSDGsを掲げてアクションを進めています。 観光分野においても例外ではなく、環境への配慮やバリアフリー化が進め […]
【東京・北海道で開催!】サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム
サステイナブル・ツーリズム国際認証 GSTCトレーニングプログラム 開催! 《写真はいずれも島原半島でのトレーニングの様子》 観光地および観光産業を対象にしたGSTC国際認証制度の基準・指標を […]
[11.10-11]サステイナブル・ツーリズム国際認証 東京フォーラム
《ご参加頂きました皆さま、どうもありがとうございました!》 「サステイナブル・ツーリズム国際認証事業」5年目の集大成! 今回は、世界的先進地スロベニアからゲストを招き、東京の国連大学で開催します。 日本列島 […]
[10.19]サステイナブル・ツーリズム国際認証 東京セミナー 第3回
サステイナブル・ツーリズムをはじめから学ぶ勉強会 「持続可能な観光とはどのようなものか ~世界の事例から・日本の取組は~」 9月から3回のシリーズで、サステイナブル・ツーリズムをめぐる最新の情報を聞く会を企画しました。国 […]
[9.21]サステイナブル・ツーリズム国際認証 東京セミナー 第2回
サステイナブル・ツーリズムをはじめから学ぶ勉強会 「持続可能な観光とはどのようなものか ~世界の事例から・日本の取組は~」 9月から3回のシリーズで、サステイナブル・ツーリズムをめぐる最新の情報を聞く会を企画しました。国 […]
[9.7]サステイナブル・ツーリズム国際認証 東京セミナー 第1回
サステイナブル・ツーリズムをはじめから学ぶ勉強会 「持続可能な観光とはどのようなものか ~世界の事例から・日本の取組は~」 9月から3回のシリーズで、サステイナブル・ツーリズムをめぐる最新の情報を聞く会を企画しました。国 […]
[2.28]サステイナブル・ツーリズム国際認証 東京セミナー
~2017年国連サステイナブル・ツーリズム年をふりかえって~ 「GSTCサステイナブル・ツーリズム国際認証 日本における展開へむけて」 日本エコツーリズムセンターでは、2014年よりGSTC(Global […]
サステイナブル・ツーリズム国際認証 島原半島勉強会
「サステイナブル・ツーリズム国際認証 島原半島フォーラム」に先だって事前勉強会を開催いたします。 【日 時】平成29年10月19日(木) 18:30〜20:30 【会 場】ありえコレジヨホール 大会議室 ( […]
[11.4-5]サステイナブル・ツーリズム国際認証
「島原半島フォーラム」
国連「持続可能な開発目標(SDGs =Sustainable Development Goals)」は2016年から2030年までの世界全体の開発目標です。これは観光においても例外ではなく、2017年が国連「開発のための […]