『GO TO にっぽん! ~コロナ禍が明けたら一番に見たい風景~』第10弾 持続的な伝統漁業と世界を変える「しましま」(阪野 真人)

三方五湖について
福井県の南西部、若狭町には三方五湖というラムサール条約に登録された湖があります。
名前の通り、三方湖、菅湖、水月湖、久々子湖、日向湖の5つの湖があります。
淡水、汽水、海水と塩分濃度がそれぞれ違い、深さも2m程度の湖から40m程の湖まで様々です。

伝統漁法
三方湖では古くから伝統漁法による資源管理のなされた持続的な漁が営まれています。
冬に行われる「たたき網漁」は、青竹で湖面を叩いて湖底に潜むコイやフナを驚かせ、仕掛けた刺し網に追い込んで獲る漁法です。
冬に獲れたコイやフナは臭みがなく、地元では刺身で食べられています。
この伝統漁法などが評価され、三方五湖は日本農業遺産に選定されました。
しかし、近年では漁業者の高齢化やコイやフナの消費量の減少により、この漁業の持続性が危ぶまれていることから、私達は漁師さん達と一緒に新たな食べ方の提案や伝統漁法の体験プログラムの開発に取り組んでいます。

世界を変える「シマシマ」
また、水月湖の湖底には、「年縞(ねんこう)」と呼ばれる堆積物の縞があります。
春から秋にはプランクトンの死がいなど、冬には黄砂などによって明るい層と暗い層が交互に堆積し、1年に1層の縞模様が作られ、これを年縞と呼びます。
水月湖の年縞は、約7万年分の堆積物がおよそ45mにわたって形成されており、世界的にも珍しいことから、水月湖は奇跡の湖と呼ばれています。
この年縞を調べていくと、例えば地震や洪水があった年は、湖に大量の土砂が流入し厚い層が作られます。
また年縞に含まれる花粉や葉の化石からは、当時の湖周辺の自然環境や気候が分かってきます。
2018年には福井県年縞博物館が建設され、館内には40メートルの年縞や7万年の歴史の解説などが展示されており、展示物や建築物としての評価も高く、第2回日本博物館協会賞を受賞しており、全国に博物館・美術館等が5,700施設余りある中、唯一選ばれています。
コロナ禍が明けたら、ゆっくりと三方五湖周辺をお楽しみいただければと思います。

参考:
三方五湖世界農業遺産推進協議会
福井県年縞博物館

【エコセン世話人 一般社団法人SwitchSwitch代表理事/一般社団法人熊川プロジェクト理事 阪野 真人】
(2021年6月4日配信 メルマガ掲載)

コラム「Go to にっぽん」の一覧はこちら
コラム「スペシャルな『旅の話』」の一覧はこちら
コラム「サステイナビリティを主張!」の一覧はこちら