『これが日本の自然体験~エコセン世話人が独断で選ぶ日本の自然エリアと体験~』第22弾(森 高一)

『清里』
前回のコラムで、山本さんが清里キープ協会の環境教育で寄稿しました。
続けて清里の続きを森が書きます。
森も清里で環境教育に出会った一人です。
1980年代の終わり、現在の(公社)日本環境教育フォーラム(JEEF)の前身、
清里環境教育フォーラムが1987年にスタート(スタート時は「清里フォーラム」)して間もなくの頃でした。
エコセン創設者の広瀬利通さんや、CONEの創設に奔走された岡島成之さん、
佐藤初雄さん、キープ協会で環境教育を推し進めた川嶋直さんはじめ、
自然体験の第一線を開いてきた皆さんとここで出会います。

清里の自然は八ヶ岳山麓の1100~1300mの高原で、ツツジやリョウブ、
アカマツにミズナラやダケカンバなどが混じる比較的若い森がベースです。
なだらかな地形が広がり、西側で川俣川へがくんと下がる。
川俣川にはコメツガやシラビソなど深い針葉樹の森があります。
冬は相当冷え込み、紅葉が終わる11月にはもう冬ごもりの様相に。
でもその寒さがまた気持ちいい。
清里の空は広く、多様な樹種のある森は野鳥や野生生物に出会いやすい環境でした。
その代表格がヤマネで、ヤマネ研究者の湊秋作さんが長年通い詰めたことがもとで
やまねミュージアムができました。

この建屋が1980年代にできた2代目のネイチャーセンターで、
その奥にフォレスターズキャンプ場があります。
解放感のある森の中で、多くの人が自然に向き合い、野生動物に出会い、交流していきます。
歴代の本当に多くのスタッフや協力者によって育まれていった、
日本を代表する環境教育のスポットです。
もう1点、清泉寮の玄関前からの景観がまた象徴的です。
牧草地の向こうには富士山と北岳、甲斐駒ヶ岳を前面にした南アルプスの山々が、
背後には赤岳が望めます。これぞ清里。

【エコセン共同代表理事 / 森企画代表 森 高一】


