『これが日本の自然体験~エコセン世話人が独断で選ぶ日本の自然エリアと体験~』第2弾(中澤 朋代)

『五色ケ原の森』

山の高さや雄大さにおいては、日本の自然は世界にかなわない。
しかし、温帯湿潤気候の島国にあって、実に様々な生き物たちが暮らしていて、
火山と滝、森林限界などがもたらす繊細な自然の美しさはピカ一ではないでしょうか。この魅力を一言で言うなら、「重箱に詰め込んだおせち料理」のようです。
さらに四季があるため、何度訪れても変化に富んでいて飽きることがありません。

それを堪能できる自然体験のひとつが、中部山岳国立公園の「五色ケ原の森」歩き。
ガイド付きでないと入山ができない国内でも珍しい場所です。
コースは3つでそれぞれ8時間程度。
ショートコースも別にありますが、たっぷりと楽しめるように工夫されたロングコースがおすすめ。
出発は朝7時、解散は午後の4時で、近隣に宿泊するなどして山を歩く1日となります。

ゴゼンタチバナの群落

乗鞍岳の西麓、岐阜県高山市に位置する五色ケ原は、地元でも知る人ぞ知る美しい森で、手つかずの日本の自然の原型が残ります。
ここを整備した2005年以来、20年の歳月が過ぎました。
すべての人がガイド付きで歩くことでもたらされた一つの成果
―それはゴゼンタチバナの株が昔より増えていることに象徴される、
美しい森に居ることへの保証です。
この森は訪れるすべての人からその経験を奪うことがないよう、
今もガイドらの手によって守られています。

荒々しい溶岩地形に苔むす安定した環境
池からはカエルの大合唱が

コースのハイライトは滝の連続です。
多大な水量の滝しぶきを受けながらのクライマックスは、
山歩きの魅力とスリルが凝縮されており、とにかく圧巻です。
入山時期は5月下旬から10月いっぱいまで。
各コース6~7㎞ですが、標高差は200~300mで全体としてはのんびり歩けます。

横手滝

【エコセン共同代表理事/松本大学 中澤 朋代】


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