『これが日本の自然体験~エコセン世話人が独断で選ぶ日本の自然エリアと体験~』第29弾(塚原 俊也)

川ガキが躍動する、西和賀の夏――弁天島で育まれる「生きる力」
岩手県西和賀町、和賀川の清流に浮かぶ「弁天島」。ここは、美しい景勝地であり、かつ現代の「川ガキ」たちを育む遊びと育ちの場です。
くりこま高原自然学校では過去に何度かこの場所で自然体験活動を実施した思い出の場所です。

島を囲むエメラルドグリーンの淵は、子どもたちにとって最高の遊び場です。ごつごつした岩場から勢いよく水中に飛び込む瞬間、全身で水の冷たさと命の拍動を感じます。シュノーケルを覗けば、そこには美しい魚たちが泳ぐ別世界が広がっています。彼らはただ遊んでいるのではありません。流れを読み、足場を確かめ、自然の中での身体感覚を研ぎ澄ませているのです。
楽しみは水の中だけにとどまりません。釣り上げたばかりの魚を自分たちの手で捌き、河原でカラリと唐揚げにしていただく。命をいただくことの重みと喜びを、五感を通じて学びます。河原に石を積み上げ、水面にパドルを漕ぎ出す。こうした一つひとつの経験が、教科書では学べない「生きる力」へとつながっていきます。

※ちなみに弁天島の中には「いつくしま神社」と呼ばれる神社があり、島での殺生は禁じられているので、島以外の河原で魚を捌きます。地域の風習を知ることも大切なこと。

西和賀の豊かな森に育まれた清流と、そこで水しぶきをあげながら遊ぶ子どもたちの笑顔。これこそが、私たちが次世代に引き継ぐべき「日本の原風景と自然体験」ではないでしょうか。弁天島での川遊びは、自然を敬い、その恵みを享受する知恵を、現代の川ガキたちに教えてくれているのです。

【エコセン理事 / くりこま高原自然学校校長 塚原 俊也】

