『これが日本の自然体験~エコセン世話人が独断で選ぶ日本の自然エリアと体験~』第4弾(小沼秀樹)

『エゾナキウサギ』

日本には北海道だけに棲息している動物が数種類いますが、
なかでも有名なのが「エゾナキウサギ」。

北海道の中でも大雪山、日高山脈、夕張山地、北見山地などの
限られたエリアにしか棲息していません。

2 セルフビルドロッジのホール

ウサギと呼ぶには少し変わった風貌で、耳は短く、
丸くて小さい身体はパッと見ネズミのようですがウサギ目ナキウサギ科の
れっきとしたウサギの仲間です。
その理由は上の前歯がウサギのように二重になっているからです。

棲息環境は岩がゴロゴロといくつも積み重なったガレ場。
その迷路のようになった岩の隙間で、捕食者から身を守りながら暮らしています。

涼しい場所を好むので高地に棲息していることが殆どですが、
標高が高くなくても、冷たい風が岩の隙間から吹き出す風穴地帯にも棲息しています。

観察のポイントは、特徴的な鳴き声が聴こえてくるのを静かに待つことです。
「ピチィ」という甲高く大きな声が聴こえたらその方向をよく探します、
最初は探すのに苦労しますが慣れてくるとそのカワイイ姿を
簡単に見つけることができます。
鳴かずにソッと出てくる場合もありますが…

北海道も例年より気温が高くなる日が多くなっています。
その影響なのか、観察をしていても鳴き声が全く聴こえない、
姿が見えないという状況が多くなってきているように感じます。

今後の彼らの生存には、エゾナキウサギの保護に対する意識を高め、
気候変動対策や棲息地の保全を進めていくことが重要です。

【エコセン団体会員/NPO法人大雪山自然学校理事 小沼 秀樹】


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