エコセン世話人のフィールドを訪ねる旅・第3弾 その2 ~鳴子温泉/くりこま高原~ くりこま高原編

2025年1月24日(金)から26日(日)にかけて、3回目となる「世話人のフィールドを訪ねる旅」を開催しました。
続いて2日目午後~3日目までの「くりこま高原編」の報告です。

【日程】2025年1月24日(金)~26日(日)エコセンの世話人を訪ねる旅

~もりたび/鳴子温泉&くりこま高原自然学校・くりはらツーリズムネットワーク/くりこま高原~

【鳴子・くりこま編 報告】

1日目
11時頃 JR古川駅集合 レンタカーで鳴子温泉へ
12時頃 鳴子温泉街到着
12:00 昼食 大久商店(ジビエなどの山の幸)
13:00 車移動
13:30 鬼首「荒湯地獄」の利用と保全の取り組み
14:30 鳴子まち歩き(温泉熱利用)
17:00 宿チェックイン (宿検討中)
温泉〜夕食〜交流会 理さんからエネルギーと森の循環夜話
2日目 
朝食、チェックアウト
9:00 鳴子こども園見学
(こどもを育む森と暮らしがつながる園舎)
10:00 車移動
10:40 KURIMOKU宝来工場
(自然エネルギーで稼働する日本唯一の製材工場)
11:40 移動
昼食(地元の弁当を予定)
13:00 大場寿樹さんと出会う(くりはらツーリズムネットワーク)
長屋門プロジェクト~伊豆沼サンクチュアリセンター
15:00 ラムサール条約伊豆沼にて夕方マガンのねぐら入り
16:00 日の入り、移動
17:00 栗駒耕英地区の温泉予定
18:20 くりこま高原自然学校チェックイン
18:30~夕食~塚原さんの活動の話やスタッフとの交流
3日目
7:30 朝食
午前中 自然学校で過ごす(エコセンの未来を考える世話人プチミーティング)
ジオパークVC見学や今元気な街栗駒岩ケ崎の六日町町ぶら
昼食 栗駒ならではランチ
13:30 出発
15時頃 古川駅着予定、各自解~

◎ 2日目~「くりこま高原編」

◆どんだけいるんだ!マガンの渡る湖・伊豆沼
ラムサール条約に登録されている伊豆沼は、冬の渡り鳥のスポットとして名が知れる。
場所は鳴子の大崎市の隣町・栗原市にあり、東北新幹線のくりこま高原駅からほど近い。
今回、伊豆沼で活動するくりはらツーリズムネットワーク会長の大場さんに案内いただいた。
この季節ぜひ見てほしいといわれたのがマガンのねぐら入りである。
マガンはいわゆる雁である。
夏はシベリアや北極圏にいて、秋から冬にかけて日本に、特に東北地方に渡ってくる。
伊豆沼の確認数、なんと10万羽だそうだ。
それが朝早くに群れで飛び立って、遠くは山を越えて秋田まで遠征。
田んぼなどで落穂など食べて、夕方日没ころに一斉に湖に帰ってくる。
群れがV字になって飛ぶ姿は、野鳥ファンだけでなくとも見たことある景色だ。
夕方日が沈むころに観察スポットに案内され、ぼつぼつと帰ってくるのを見ていたが、もう次から次へとマガンの編隊が増えていく。
遠くに見えるのはウンカのように黒い筋になり、途切れることがない。
まさに圧巻。
まだこんな数のマガンが群生しているのに驚いた。
これも東北各地の田んぼが健在だということ、雁と人との関係が絶妙にいいこと、なんだと思う。

◆くりこまといえば、もうイグルー
2日目は、くりこま高原自然学校にお世話になる。
ふもとの中心街・六日町に立ち寄って、メインストリートに最近出来てきた若い方々のお店をのぞき、地酒の揃えがめちゃくちゃいい酒屋さんによって、標高600mの耕栄地区へ。
六日町では雪も見当たらないのが、山へあがるにつれ雪深くなり、くりこま高原自然学校はすっかり雪の中に。

1990年代、創設者の佐々木豊志さんがはじめのログハウスを建て、順次建屋が増えていき、2008年には岩手宮城内陸地震の震源に近く避難を余儀なくされる。
その経験から東日本大震災でのRQの活動につながっていくが、2008年の地震でもこの辺り大きな被害が出て、一帯では山塊崩壊が起きている。
2009年に当時のエコセン代表広瀬さんの呼びかけで震災復興ツアーを開催している。
その時に参加していたのが、今回のツアーでご一緒する国安さん。
被災したフィールドのその後を見たいという要望から3日午前はスノーシューで見渡せる地点まで行った。

初日の鬼首カルデラもそうだが、大地のなせる変動は筆舌尽くしがたい。
こんなにもすごいものか。
それが30万年前も、そして十数年前もあって、どこでもいつの時代にも起きて。そんな土地に僕らは住んでいる。
もう1つの目玉が、くりこま名物のイグルーだ。
佐々木さんが作り方を考案し、今やイグルーづくりといえば佐々木さん、今年も東北の各地で作品ができている。
イヌイットのイグルーは氷だったりだが、ここは雪を固めスノーソーと呼ばれる鋸でブロックにして切り出し規則通りに積み上げる。

今回森はイグルー初体験で、塚原さんの作ったイグルーで夜、ろうそくを灯してホットワインなどいただく。
美しい時間だ。

栗原では、荒湯地獄や鳴子温泉のお湯の力を、山の森の材を、余すことなく活用して日々のくらしに。
大崎では、田んぼと湖をふつうに使い、野鳥とともに生きて。
くりこまでは、雪と低温を活かして空間と時間を楽しむ。
地域にあるものを無理なく活かして、みんなで日々の糧と楽しみに。
そのめぐりの中を旅させてもらう、これがエコセンで目指してきた地域循環であり、これがサステナブルな旅だと思うのだ。
次はぜひみなさんと。

【日本エコツーリズムセンター 共同代表理事 森 高一】