団体会員へインタビュー!世界遺産編(さんごゆんたく館)

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が7月に世界遺産に決定したことに関連して、エコセン事務局から座間味村観光協会 (慶良間諸島国立公園ビジターセンター「さんごゆんたく館」村石さん)へインタビューをしました!

Q1 慶良間(けらま)諸島国立公園は、2014年に指定された国立公園ですが、さんごゆんたく館があるのは阿嘉島(あかじま)ですね。慶良間諸島のそれぞれの島はどんな特徴がありますか?

さんご:慶良間諸島には大小合わせて30あまりの島があるとされています。かつて沖縄本島のやんばるとは2000m級の山脈でつながっていたようで、その山脈が沈降して山頂部分だけが残り、現在の慶良間諸島を形成していると考えられています。そういう意味では、どの島も地質的には同じです。また周囲を急峻な崖に囲まれていることも全ての島の特徴と言えます。 島は多いですが、現在人が住んでいるのは、ここ阿嘉島を含め4島しかありません。有人島で一番大きい島が渡嘉敷島(とかしきじま)で、渡嘉敷村というひとつの行政区になっています。阿嘉島は座間味島(ざまみじま)、慶留間島と合わせて座間味村に属しています。 渡嘉敷島は面積も大きいですが、標高も200m以上あることが特徴です。それが理由かわかりませんが、座間味村より雨が多い印象があります。また琉球固有種のイボイモリやホルストガエルが生息していることも大きな特徴だと思います。ハブも渡嘉敷島だけにしかいません。また那覇に一番近いので観光客の数も一番多くなっています。 二番目の大きさの座間味島も観光客の多い島です。船に乗って来た人の8割が座間味島へ、残りの2割が阿嘉島で下船するという割合だと思います。座間味島はディープなファンが多い気がします。島の特徴としてはアオウミガメがとても見やすいところでしょう。平坦な場所が多く浜にアクセスしやすいのも理由の一つだと思います。 さんごゆんたく館のある阿嘉島は中央に標高180mの山があり、そこから放射状に裾野が広がっているという感じです。こじんまりしていて人も少なく静かな島で、リピーターの方も、その点を魅力のひとつに感じてくれているようです。国の天然記念物に指定されたケラマジカが生息している数少ない島のひとつですが、調査の結果では九州地方由来のニホンジカということがわかり、最近では国内移入種という見方も出てきています。慶留間島は人が住んでいる島で一番小さい島です。お椀をひっくり返したような島で、海岸線が断崖で囲まれている地形が一目でわかります。耕作できる土地が少ないので、昔は船で阿嘉島まで渡り、田んぼや畑を営んでいた人もいたようです。

Q2:さんごゆんたく館を利用するのはどんな人たちですか?

さんご:レンタルサイクルショップ、お昼ご飯を食べられるところ、などを聞きに来る日帰りのお客さんが多いですね。さんごゆんたく館は観光案内所も兼ねているためです。圧倒的に多いのはシュノーケリング目的の方々でしょう。日帰りで気楽にできるアクティビティだからだと思います。阿嘉島と座間味島の一部のビーチではウミガメとの遭遇率が高いので、ウミガメを見ることを目的に訪れる人も少なくありません。ウミガメ情報を得るためにさんごゆんたく館を利用する人も多いですね。

Q3 今回の世界自然遺産登録からは外れましたが、慶良間諸島の自然の売りはなんですか?

さんご:慶良間諸島国立公園のテーマともなっている「ケラマブルー」と呼ばれる海の美しさでしょう。海の透明度と美しいサンゴ礁は世界有数と言っても過言ではありません。沖縄島在住のうちなーんちゅの人たちも、ここの海の美しさは格別だと話してくれます。一番のポイントは見た目の美しさだけではなく、サンゴを中心とした多様な生態系が維持されていることだと思います。

 

Q4 座間味島に今年5月「青のゆくる館」という施設ができたようですが、どんな特色がありますか?

さんご:阿嘉島のさんごゆんたく館がサンゴに関する展示をメインとしているのに対して、青のゆくる館は座間味島を中心とした慶良間諸島国立公園の自然と歴史・文化を紹介する施設になっています。館内は映像による展示が中心になっていることが特徴だと思います。特に、世界に一式しかない「12K360度VR水中撮影システム」によって撮影された映像は特筆するべき点でしょう。また観光案内所とカフェ、休憩スペースが併設されていて、訪れた人たちがリラックスできるような空間づくりになっていることも特色のひとつです。

Q5 慶良間諸島でエコツーリズムに取り組む事業者との連携はありますか?

さんご:さんごゆんたく館として事業者との連携は今のところありません。慶良間では、渡嘉敷村と座間味村が協同で2008年に「慶良間地域エコツーリズムガイドライン」を策定しました。その後ガイドラインを骨格に作成した「慶良間地域エコツーリズム推進全体構想」が2012年にエコツーリズム推進法で認定されましたが、その法律を施行するための条例が未だに両村で作られていない現状があります。そのため現在はそのガイドラインに基づいて、事業者は、各島のダイビング協会が主体となって、サンゴを含む海洋環境に負荷をかけないダイビング、シュノーケリングツアーなどを実践している状況だと思います。

Q6 慶良間諸島の文化と沖縄本島の文化に違いはありますか?何か独自の伝統などがあるのでしょうか?

さんご:基本的には同じですが、島によって異なる部分も多々あります。文化の違いは沖縄島の地域によっても差がありますし、一言では説明ができません。阿嘉島は糸満との交流があったようで、行事や習慣についての影響を受けていると思います。座間味島と阿嘉島では同じ行事でも名称が異なったり、実施する時期がずれたり、内容も微妙に違っています。それぞれの島で独自の内容で行われている神行事もあるようですが、簡素化されたり廃れてしまっている行事も少なくありません。そのような中でも阿嘉島は、昔からの神行事が比較的数多く残っていると思います。

Q7 移住者はどんな人たちですか?地元の人と移住者の間でコラボレーションなどはありますか?

さんご:移住者の多くは20〜30年前から来島し独立して自分の店を持っているダイビングショップの人たちです。家族を持っている人がほとんどなので一番多い移住者でしょう。民宿やダイビングショップで働く若者もいますが、ほとんどは住み込みの季節労働者という感じで定住までには至りません。 コラボという意味では阿嘉納涼祭がわかりやすい例かも知れません。地域住民が一体となり、自分たちの手だけで祭を運営しています。Covid-19の影響で2年間中止となっていますが、地元の人、移住者のどちらかが欠けても成り立たない行事だと思います。また地元の若者が少なかった時期に島行事を移住者が支えていたこともありました。今でも地元の人と移住者は行事やイベントなどは、みんなで協力して行っています。

Q8 日帰りの訪問者は沖縄本島に宿泊して、阿嘉島を訪れる感じですか?島の宿泊施設は、設備の整ったホテルから民宿のようなところまであるのでしょうか?ごみの問題を考えると、観光客のか滞在時間が短い方が島の環境への影響は低そうですが、村としては観光客を増やしたい(宿泊して長く滞在してほしい)と考えているのでしょうか?

さんご:その通りです。那覇に滞在して日帰りで訪れる人が増えてきています。中には座間味島や渡嘉敷島滞在の方が、村内航路で来島することもあります。Covid-19影響で県外への渡航が難しい時期には沖縄島在住の方々も多く訪れました。 阿嘉島にはリゾートホテルのような宿泊施設はありません。ほとんどが民宿やペンションです。村としては宿泊客を増やしたい意向はあるようですが、ゴミの問題というより宿泊施設のキャパシティーの方が問題だと思います。Covid-19以前には、最盛期には宿泊したくても宿の予約が取れないというのが現状でした。宿泊者は、宿やお店の人から島の現状について説明されたりするので、ルールやマナーを守る人が多い印象があります。ゴミについては、島の事情を知らない日帰り客や釣り客の方が問題です。日帰り客は食材を那覇から持ち込む人が多く、残ったゴミを持ち帰らず島に無造作に捨てていくので、船の待合室にあるゴミ箱はひどいことになります。浜にも明らかに捨てて行ったと思われるゴミも少なくありません。釣り客が多い時には、港の堤防にゴミが散乱していることも少なくありません。個人的には来島者の量を増やすのではなく、質を上げる努力が必要だと思っています。

●さいごに

インタビューを通して、慶良間諸島を含めた沖縄全体で、エコツーリズムの意識を高めていくことがもっともっと必要だと感じました。釣りのようなレジャーも、自然を利用する以上、なんらかの形での普及啓発が不可欠ではないでしょうか。
自然が好きな人向けだけではなく、自然を利用して暮らしを成り立たせている社会の一員としてエコツーリズム・持続可能な観光を常識にしていきたいものです。

【エコセン団体会員 / 座間味村観光協会 (慶良間諸島国立公園ビジターセンター「さんごゆんたく館」村石健一さん)】