「サスティナビリティを主張!」シリーズ 第32弾(大西 かおり)

サステイナブルツーリズムによせて「日本の少数民族」

15年も前から、主張してきた。
「ネイティブアメリカンを取材に行くより、日本の地域社会に残る
ネイティブジャパニーズに会いに来てよ」と。

自然学校を始めて5年目、私が生まれ育ったこれまでの地域社会は、
終わっていくと確信してから言い続けた。
過去2年間、日本とハワイ、フィリピンの大学生の交流事業を受け入れた。
海外の学生には、竹竿1本で魚をひっかける伝統漁法や薪や炭で風呂を焚き、
料理を作る人々を見て“日本の少数民族”に会った気持ちになっただろう。

しかし、それは日本の学生にとっても同じ。
言葉が通じないのも同じ。
日本人の学生も“日本の少数民族”の存在を初めて知ったのだ。

高度成長期前には当たり前だった、自然をよりどころとした暮らしを知る世代が少なくなり、
今の若者の周りには、その暮らしを知る人さえほとんどいない。
方言云々で言葉が通じないわけではなく、暮らしのベースが違うから、理解し難いのだ。
地域を支えた人生を築いた、大切な共通項が削除されている。
恐らく、世界中で同じ問題が生まれているのではないかと推察する。

自然と共生してきた持続可能な社会で生きた人々は、言葉も場所も人種も違えど、
共通理解し合える部分があったのではないだろうか?
国境をも飛び越えて理解し合える何ものか、存在。
その存在を確かめていく旅。
それこそがサステイナブルツーリズムという主張の肝要の一つであると私は考えている。

【エコセン世話人 / 大杉谷自然学校 校長 大西かおり】
(2019年7月3日配信 メルマガ掲載)