「サスティナビリティを主張!」シリーズ 第2弾(藤原誉)

京都の山村・美山からの投稿です!

豊かな森林を有するこの国ではこの20年来で野生動物が大幅に増加してきました。
一見素晴らしいことのようにも見えますが、いち早く鹿の爆発的増加を経験した美山では、森林の林床植物が鹿の食害により壊滅的な被害を受け、山中にはほとんど下草が無くなりました。
それは獣たちにとって森の中の食べ物が枯渇したことを意味し、さらには多種多様な植生が奪われ、すなわち昆虫類、鳥類にも大きな影響を与えていることを意味します。
つまり生物多様性が失われたということです。
自らの餌も枯渇してきた鹿は、美山では10年ほど前をピークとして数を大幅に減らしています。
それでもなお残る鹿による食害で植生回復の兆しはなかなか見られない状況です。

美山以外の森林に目を移すと、たった今鹿、猪が増加の一途をたどる地域が全国各地にあります。
そんな地域を訪問先などで垣間見る中で、それらの地域の森もこれから10年20年を経て美山の森のような生命が枯渇した森にならないことを願うばかりです。
狩猟による捕獲は残念ながらこの大きな増減の波に抗えるほどの力はないと感じています。
私たちがどれほどに頑張っても、この大きな波を止める力はないですが、
特定地域の獣害対策としてのピンポイントでの狩猟圧の効果は確かにあります。
ですがそれ以上に今私たちにできる一番大切なことは、
これだけ傷んだ自然の中でも育まれる動物たちの血肉を無駄にしないということです。

きわめて環境にやさしく(エコロジー)であり、持続可能(サスティナブル)な獣肉を無駄にしている日本の有り様こそが一刻も早く変わらなくてはならないことだと思います。
国民の多くが獣肉と食することを通して日本の野生動物のことを知り、日本の森の現況を知り、森を、獣を守るためにできることに関心を注ぐようになることを願ってやみません。それは食育であり、自然科学の学びであり、日本の自然に誇りを持つことにも繋がるのですから。

そんな先にようやく効果的な有害鳥獣対策、あるいは自然保護の答えが見出せる日が来るのではないでしょうか。
微力ながらも私たちにできることは、獲った獲物を無駄なく美味しく食べる、その美味しさをできるだけ多くの方たちに伝え、届けることです

※ブログより抜粋です。全文は以下よりご覧ください。

https://blog.goo.ne.jp/homaru-f

【エコセン理事 田歌舎代表 藤原誉】

(2018年3月23日配信 メルマガ掲載)