「サスティナビリティを主張!」シリーズ 第19弾(山口久臣)

“持続可能な阿蘇”について考える!
私の“阿蘇“との関わりは、40年以上になる。
阿蘇の火山について学び、阿蘇の自然を満喫し、阿蘇で癒やされ、
阿蘇で多彩なツーリズム(エコツーリズムを含めて)を創って来た。
途中、幾多の自然災害に見舞われた。
それは例えば、中岳火口の爆発的噴火、洪水
(阿蘇カルデラには年間約3000ミリ以上の雨が降る国内屈指の多雨地域である。
それが故に、人口約70万人の熊本市は、その飲料水と生活用水を
すべて地下水で賄えると云う水の都なのだ。)、
冬の大雪、そして、2016年4月の熊本大地震等々。
そんな大災害に遭っても阿蘇は未だ現存している。

今から14万年、12万年前に起こったとされている大火砕流噴火では、
ほぼ九州全域にその火砕流が吐き出され(一部北海道まで火砕流が届いたと云う大噴火)、
ほぼ壊滅状態だったらしい。(未だ人類はいなかったらしいが。)
だけど、阿蘇は未だ続いている。
つまり持続可能な阿蘇なのだ。
自然は強大だ。地球が続く限り“自然”は持続可能なのだ。
地球と云う惑星は、例え人類や文明が滅びてしまっても更にあと40憶年程は持続可能らしい。

さて、現代の文明の中で、
“持続可能性(Sustainablity)”と云う言葉は、どこから始まったのか!?
それは、ドイツの林業から始まった言葉だと云う。
“この山には、1万本の木がある。今年は、2,000本の木は切って良いゾ!
何故なら、2,000本を植林したからだ!”
これが、持続可能性の基本である。
つまり、需要と供給のバランスがとれているかと云うことなのだ。
そう云った意味では現代日本の国家予算こそが、“持続不可能”の極みであろう。
2019年度の国家予算は、約101兆円強に膨らむらしい。
内、約33兆数千億円が国債の発行で賄われる。つまり借金である。
国の借金の累計はもう1,200兆円を超えてしまい“持続可能性”の追及は、
日本社会のマクロやグローバルではもはや不可能となり、我々がそれを追及出来るとすれば、
地域、ローカル、コミュニティにしかないと私は思っている。

過日、「阿蘇エコツーリズム大会2018」を開催した。
熊本大地震から復興・復活をして行くことに併せて、
それらを活用して阿蘇での観光地域づくりをどの様に進めて行くのか!?
阿蘇で今後、エコツーリズムをどの様に展開して活用して行けるか!?が主テーマであった。
大会もさることながら今後の展開こそが大きなポイントなのである。
最後に、今の日本には、たくさんの名前の“ツーリズム”が出現しているが、
そんな中での大きな柱は、エコツーリズムとグリーン・ツーリズムと
ヘルス・ツーリズムの3つである。
しかしながら日本国内で現在進められているツーリズムの殆どには、
この3つのツーリズムの要素が複合的に入っている様である。
我々は、ツーリズムであれ、地域づくりであれ、環境であれ、
“サステイナビリティ(持続可能性)”を追求する時のキーの1つは、
“お互いに補完し合える複合性とそれらの組み合わせ”にある様に思えるのだが。
私は、それらの実践の場の1つに“阿蘇”を位置付けている。

【エコセン理事 / 一般社団法人アイ・オー・イー代表理事 山口久臣】
(2018年12月26日配信 メルマガ掲載)