『彩とりどり日本紀行 大寒:1月20日(旧暦12月10日)』第12弾(塚原茉衣子)

「大寒」という名前の通り、一年でもっとも寒い季節になりました。

私たちが暮らしている耕英地区(宮城県栗原市)は、
宮城・岩手・秋田の三県にまたがる栗駒山の中腹です。
宮城県では有数の雪の多い集落で、積雪が一晩で60センチを越えることもあります。

凍えるような朝の寒さや、夜の吹雪には辟易してしまうこともありますが、
東北の寒さが厳しい地域だからこそ生まれる美味しいものもあります。

 

「寒仕込み」と聞いてわくわくする方は、
ぜひ宮城のおいしい日本酒を楽しみにいらしてください。
栗原市には酒蔵が6つあり、飲み比べや季節のお酒の仕上がりの違いを
楽しむにはもってこいの土地柄です。

すこし話が逸れましたが、大寒の時期にこそ仕込むものといえば、“味噌”です。

なぜ寒い時期に仕込むのがいいかというと、冷たい水では雑菌が繁殖しないということや、
冷え切った状態からじっくり時間をかけて僅かずつ発酵させることで、
腐敗を遠ざけたり、味が深まったりという説があるようです。

時間がかかるからこそ、手に入るものの価値が深まるという考え方は、
東北で暮らす私たちが忘れてはいけないことだと感じます。

味噌づくりのために、大豆をかまどで煮ることや、
大豆をつぶす作業は時間がかかりますが、
子どもたちと一緒にすると遊びと学びが同時に進むようにも感じます。
つぶした大豆に塩と麹を混ぜて、野球ボールのように丸めて
保存容器にたたきつける作業は一番盛り上がる場面です。

手間も時間もかかりますが、自家製味噌があればシンプルな味噌汁が
毎日のごちそうになりますし、
頼もしい調味料として日々のおかずにも酒の肴にも大活躍です。

何十キロも仕込まなくても、1キロや2キロくらいから作る方法もありますので、
冬の“おうち時間”のひとつとして、ぜひ今年チャレンジしてみてください。

【エコセン世話人 /くりこま高原自然学校 塚原茉衣子】

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