『彩とりどり日本紀行 夏至:6月21日(旧暦5月16日)』第22弾(森 高一)
夏至が近づいてきた。
冬至はこの日が過ぎると日ごとに日が伸びていくのがうれしく感じるのだが、
夏至を過ぎるとほぼ秋分まで常軌を逸した暑さが続くと思うと、気が滅入る。
それでも夏至までの間、東京では各地の神社でお祭りが続き、
心なしか気分がアガっている。
森の実家は下町台東区、鳥越神社の町内である。
6月2週目の土日が神社の祭礼で千貫神輿と呼ばれる巨大な御神輿を18ヶ町で担ぎまわす。
それに加えて全町内に山車と子ども神輿、中神輿、大人神輿があって、
これも2日に渡り担ぎつくす。
森はすでに担がなくなって久しいが、親族のところでは毎年神輿に魅入られた同志が集まり、
つながりあるあちこちの町内に神輿を担ぎにまわっている。
そこにかみさんもはまって、毎年果敢に担ぎに加わるのだ。
ちなみに鳥越神社で販売しているカレンダーは、祭りのある6月がスタートで
12ヶ月全てが神輿の写真。
どの月も大勢の担ぎ手が神輿をあげている写真のコラージュで、
年による変化も季節の変化も一切無視。
担ぎ手はそれを毎年ありがたく買って、次の祭りに気持ちを蓄える。
東京の下町も人口減少に高齢化、地場産業の衰退は進んでおり、
かつて町中にあった個人商店は軒並みなくなった。
ビルだらけになった街並みは無機質で、人の見える活気は祭りの時くらいになってしまった。
年に1度のお祭りは、地域にとって最も大事なまちの生命力が発散される機会だ。
ここで毎年「おう、大丈夫だぜ」を確認する。
いい時代もあればそうでない時もある、またいい波がめぐってくる。
人の営みがつくっていく町の生命力は、そうして持続されていくように感じる。
【エコセン共同代表 / 森企画代表 森 高一】
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