『彩とりどり日本紀行 小満:5月20日(旧暦4月13日)』第20弾(吉田 直哉)
「小満。あらゆる生命の気が満ちていくと言われる季節。」
丹沢山麓で田舎暮らしをしている我が家では、この時期になるときまって、
庭の鶏小屋が野生動物に襲われます。
厳しい生存競争のもとで生きる動物たちにとっては、いのち満ちる季節イコール、
子孫を残すための戦いのときなのでしょう。
鶏が犠牲になることもあれば撃退できる年もある、毎年まさに真剣勝負を実感しています。
今年も連休直前に古い鶏小屋が狙われました。
壁の下に穴を掘られて入られることが多いのですが、今年は古くなった板壁を壊されて侵入され、
ボリスブラウンが2羽犠牲に。
もう卵も産まなくなった老鶏だったから仕方ない、とは申しませんが、
この春から仲間に加わった碁石チャボの若鶏6羽は、何としても守りたい。
まあこちらは小屋も新しいし(DIY2日がかりで新築!)、
穴掘り対策で周辺にブロックを埋めたし、万全だと思っていたら…。
夜11時ごろ、大騒ぎする鶏の声に息子が気づきました。
後でわかったのですが、埋めたブロックの間に8㎝くらいのすきまがあり、
そこを掘られて侵入されていたのです。
気づくのが早かったことも幸いして、6羽中5羽は無傷、1羽首を折られて重傷なものの、
隔離して水と餌をスポイトであげて、今のところ何とか命をつないでいます。
仕掛けてあったセンサーカメラには、小屋の周囲をうろつくテンが何枚も写っていました。
その間、たったの20分。
この短い間に、土に埋まっていたブロックの隙間8㎝を見つけ出し、穴を掘って侵入したのです。
信じられない手際の良さ…。
ちなみに僕らが駆けつけて鶏たちを救い出した30分後、
大胆不敵にももう一度小屋に侵入して鶏を探すテンの姿が、
センカメに記録されていました。
本気になった野生動物から鶏を守るなど不可能ではないか、とまで思えてきます。
と弱気になっても仕方ないので、鶏小屋をひっくり返し、基礎を全部掘り出して点検、
深さ30㎝超の金網とブロックの二重構造で完全に囲い直しました。
いくらなんでもこれなら…と思いますが、30㎝以上掘られない保証もない。
毎晩、寝る前に一度、点検にまわっている日々です。
テンを恨みたくもなりますが、彼女?彼?もこの季節、子育てに必死なのだろうと思うと、
責める気も失せてしまう。
「生き物のつながりのある暮らし」を目指す我が家、
あらゆる生命が満ち満ちて緊張的に共存するのを実感しつつ、
今朝もゴイシちゃん卵の目玉焼きで、元気をいただきましょう!
【エコセン監事/NPO法人 丹沢自然学校 吉田 直哉】
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