エコセン世話人のフィールドを訪ねる旅・第2弾~若狭町/福井編~
2023年12月2日(土)から4日(月)にかけて、2回目となる「世話人のフィールドを訪ねる旅」を開催しました。
【行程】エコセンの世話人を訪ねる旅~田歌舎/京都&若狭町/福井~
●1 日目 10 時頃 京都駅集合(レンタカーで田歌舎へ)
途中昼食(蕎麦屋)
昼過ぎ 田歌舎着
・鹿狩り見学
・17 時~お風呂
・18:30~夕食~交流会(旬野菜の惣菜と鴨鍋など)
*田歌舎泊*
●2 日目
・8 時 朝食
・畑で収穫体験
・そば作り
・12 時30分 田歌舎で昼食
・13:30 頃福井へ出発
15時前 若狭町着
・福井県年縞博物館見学
・17 時 三方温泉きららの湯
・18 時 30 分 交流会(鮒の刺身他海の幸を中心とした夕食)
*伴走舎泊*
●3 日目
・朝食
・午前中 伝統漁法「たたき網漁」の見学
・滋賀県で昼食
15:30米原駅着、各自解散
【はじめに】
田歌舎へ行くと決めたとき、若狭町の阪野さんを訪ねよう、と言ったのは共同代表の森さんでした。
阪野さん(一般社団法人スイッチスイッチ)は、三方五湖で地域の交流と自然体験のアクティビティを実践しています。
2021年6月には、連載コラム『GO TO にっぽん!コロナ禍が明けたら一番に見たい風景~』第10弾で持続的な伝統漁業と世界を変える「しましま」を執筆していただきました。
今回は、この「しましま」のある湖周辺を訪ねることにしました。
【旅の様子(福井編)】
12月3日日曜日の昼過ぎ、田歌舎を出発すると山道をぐねぐね登り、峠を越えるともう福井県でした。
若狭町へ向かったのは参加者6人と田歌舎の藤原さんでした。
小浜市に出て、高速に乗って若狭町へ。途中、薄っすらが雪をかぶった山が南東に見え、山の向こうは琵琶湖だよ、と車を運転していた田歌舎の藤原さんが言いました。
藤原さんは、たまにどうしても魚が食べたくなると小浜まで出てきてスーパーで魚を買うんだ、と言っていました。他のものは、肉も野菜も田歌舎で自給自足できるので、買い物することなんてめったにないそうです。
さて、福井県に入るとどんよりとした天気で、年縞博物館に到着したときには雨が降っていました。
博物館の入り口で阪野さんと初対面した後、元小学校の校長先生で専門は地学、という博物館のボランティアの方がじっくりと説明をしてくださいました。
年縞(ねんこう)とは。阪野さんのコラムにもありますが、三方五湖のひとつ水月湖(すいげつこ)の湖底に堆積した縞模様のことです。
45mにも及ぶ「しましま」に、7万年分の地球の記録が刻まれているなんて、amazingな世界でした。
水月湖の年縞がきれいに1枚づつ積み重なってきたのは、水深が深く(38m)、湖に直接流れ込む大きな川がないため堆積物がかき乱されることがなかったから。そして、湖周辺の断層の影響で湖の底が沈み続けているため、堆積物が積もっても湖が埋まらないという不思議な条件が重なりました。水月湖の年稿は2012年に世界基準の「物差し」になりました。
年縞についての詳しい説明はこちら。(年縞博物館より)
さて、博物館を出ると阪野さんに案内されて、すぐ傍にある伴走舎という一軒家へチェックイン。
そして、三方温泉きららの湯へ。出てくるとその足でスーパーへ寄って買い出しをしました。
晩ご飯は、阪野さんが用意してくれたお刺身(海のものと、なんと鮒の刺身!)やオードブルと、藤原さんがさばいてくれたキジハタ、サワラをつまみに、買ってきた日本酒やワインを飲みながら楽しみました。
さて、上の写真でどれが鮒(フナ)の刺身かわかりますか?
淡水魚である鮒は、生で食べると泥臭いイメージがありますが、三方湖で捕れた鮒の刺身を食べた参加者は一同大絶賛。
鮒の刺身は、中央に赤い実が乗っています。ちなみに、一番最後の写真は、カメノテという甲殻類です。
食事を楽しみながら阪野さんと話していると、阪野さんが以前田歌舎を訪れたことがある、という話になりました。
藤原さんは記憶を辿って、思い出すと急に嬉しそうな顔をして阪野さんと握手をしていました。
阪野さんはアウトドアガイドで、以前は北海道で自然保護や地域づくりの活動に携わっていました。 2016年から若狭町に拠点を移して、漁協のみなさんと関係性を築いたり、私たちが宿泊した伴走舎の運営をしたり、自然を守りながら地域を活性化する事業に取り組んでいます。
宴はこの日も23時過ぎまで続きました。
(朝、窓からの景色)
翌朝は、小雨。日本海側なので、冬は常にそんな感じなんだな、と思いました。
台所で入れ替わり立ち替わり朝ご飯を食べ、出発前に少しだけ川沿いを散歩してみました。
雨は降ったり止んだり。前日に訪れた博物館の横を過ぎて、どんどん歩くと前方に三方湖が広がっていました。
この日は、ちょうど12月3日に解禁になった三方湖でのたたき網漁の見学をすることになっていましたが、直前まで雨が降っていて傘をさしたほうがいいかどうか迷いました。
たたき網漁とは伝統的な漁法(詳しくはこちら)で、水深が浅く(約2.5m!)流木などが多く地引き網ができないために編み出された方法だそうです。
舟に乗る頃になると雨が止み、NHKの撮影でキャスター(?)が漁師さんにいろいろ質問しているのを眺めました。
本来はひとりで竹竿で海面を叩くのですが、この日はたまたま撮影のためにキャスターと漁師さんがふたりで海面を叩くことになりました。(冒頭の写真)
私たちが乗った舟は、撮影の邪魔にならないように漁をする舟を見守りました。
網を降ろして、網に添って水面を叩きながら舟を操った後、網を引き上げると次から次へ鮒が引き上げられました。
え、そんなに簡単に?という感じでした。水深が浅いと、水面を叩くだけで驚いた魚が仕掛けていた網にかかる、という仕組みです。
藤原さんが「鮒を買って帰る!」と言うので、漁をしていた舟に近づいてたもに入れた鮒を3匹、こちら側の舟に放り込んでもらいました。
藤原さんは舟から下りた後、血抜きした鮒を買って帰っていきました。
さて、舟から下りた参加者6名は、船着き場のすぐ上にあった自然観察棟を見学してから、隣接する道の駅で買い物を楽しみました。
駐車場では、先ほど舟に乗せてもらった漁師さん(漁業協同組合の組合長)から漁具を見せてもらいました。
興味深かったのは、網の上と下で仕様が少し違ったこと。
長細い方は「浮き」で、桐材です。短いものはなんと焼き物で素焼きの「錘(おもり)」です。粘土を稲わらに巻きつけて焼くと、わらが灰になって管状になるそうです。
網の上に浮きをつけ、裾に錘をつけるので水に入れると網が立ちます。桐材と粘土という天然素材の個性をうまく使った知恵ですね。
今はもう作る技術が失われてしまっているため、先輩の漁師さんから引き継がれたものを繰り返し使っているとのこと。
そういった道具を、手仕事でひとつひとつ手入れをしていることも含めて、たたき網漁という伝統なのだな、と思いました。
漁師さんと阪野さんに別れを告げて、我々は山を越えて琵琶湖へ向かいました。
西友(にしとも)というお食事処で昼食をいただき、琵琶湖の北側を回って米原駅に向かいました。
車の中から伊吹山を望み、途中琵琶湖畔でちょっと休憩しました。
15時半頃米原駅に到着し、解散となりました。
京都の山から、福井の湖、最後は琵琶湖まで。なんと、3つの県を跨いだ旅となりました。
藤原誉さんと阪野真人さんという、ふたりの世話人を訪ねた3日間でした。
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★今回お世話になった世話人の団体のホームページはこちら