スペシャルな『旅の話』シリーズ 第6弾!(久保 竜太)
![](https://ecocen.jp/wp-content/uploads/2020/03/H_138_l-1024x682.jpg)
僕は子どもの頃、神話やファンタジー小説やRPGゲームが大好きだった。
例えば、「指輪物語」や「ファイナルファンタジー」のようなものだ。
神々が息づく世界、広大な大地、迫りくる闇、出会う冒険者たち、そして旅。
そんな世界に生きることに心から憧れていた。
2011年3月。大地と大海の神々が荒ぶり、僕の故郷は壊滅した。
わが国には、「魔王退治」ならぬ「復興」という大義が掲げられ、
その目的のために、僕の故郷には世界中から様々なものがやってくることとなった。
政策、資金、物資、情報、技術、知見、なりわい、そして人材。
故郷をはじめ、崩壊後の被災地で見たものは、まさに天地創造とも言えるものだった。
やがて僕の故郷では、国の政策を背景として復興に取り組む特命隊が立ち上がり、
全国に隊員募集がかかった。
志あるものが人生を投じて全国から集まり、活動を始めた。
2015年にその特命隊第4期のおふれが出た時、僕は名乗りを上げ、
そして故郷に戻った。
そこは安寧の地であると同時に、戦場の最前線だった。
あれから4年半がたつ。
立ち向かうクエストは、その多くが前例のない困難なものだった。
戦友とも呼べる仲間とたくさん出会い、たくさん語り合い、たくさん別れを経験した。
全国にも同志たちとの繋がりがたくさんできて(エコセンもそのひとつ)、
尊敬する師匠もできた。気づけば、大切な家族も増えた。
「復興」の中で見出した「持続可能な観光」を探求するようになってからは、
国内外の様々な土地を訪れることも多くなった。
ある時ふと、自分が子どもの頃に憧れていたファンタジー世界の冒険者に近い
生き方をしていることに気づいた。
ずいぶんイメージは違ったが。
タイトルにならえば、いま僕はスペシャルな旅の真っ只中にいる。
そして、僕の目の前には、新たなフロンティアが広がり始めている。
あの災厄から僕が受け取ったものは、自らのルーツとアイデンティティへの回帰でもあり、
「復興とは何か」という壮大な問いでもあり、向き合い続けたその先には、
「地球との共生」と「東北の民のアイデンティティの再興」
という新たな旅の目的が待ち受けていた。
それは果ての見えない荒野で、底の見えない闇のるつぼで、とても辿り着けない
遥か彼方の聖地かもしれない。でも歩き出さずにはいられない。
いま、時間を好きなだけ使って、世界のどこかひとつだけ、旅に行くことを許されるのなら、
僕は間違いなく「東北」をひたすらに旅する。
エミシが生きたヒタカミノクニ、縄文的なる世界、未知なる日本、
日本人の根源的世界としての東北への旅。
人類と地球との調和の手がかりを求めて。
【エコセン理事 / 株式会社かまいしDMC 久保 竜太】
(2019年11月27日配信 メルマガ掲載)
コラム「Go to にっぽん」の一覧はこちら。
コラム「スペシャルな『旅の話』」の一覧はこちら。
コラム「サステイナビリティを主張!」の一覧はこちら。