スペシャルな『旅の話』シリーズ 第6弾!(久保 竜太)

僕は子どもの頃、神話やファンタジー小説やRPGゲームが大好きだった。
例えば、「指輪物語」や「ファイナルファンタジー」のようなものだ。
神々が息づく世界、広大な大地、迫りくる闇、出会う冒険者たち、そして旅。
そんな世界に生きることに心から憧れていた。

 

2011年3月。大地と大海の神々が荒ぶり、僕の故郷は壊滅した。
わが国には、「魔王退治」ならぬ「復興」という大義が掲げられ、
その目的のために、僕の故郷には世界中から様々なものがやってくることとなった。
政策、資金、物資、情報、技術、知見、なりわい、そして人材。
故郷をはじめ、崩壊後の被災地で見たものは、まさに天地創造とも言えるものだった。
やがて僕の故郷では、国の政策を背景として復興に取り組む特命隊が立ち上がり、
全国に隊員募集がかかった。
志あるものが人生を投じて全国から集まり、活動を始めた。
2015年にその特命隊第4期のおふれが出た時、僕は名乗りを上げ、
そして故郷に戻った。
そこは安寧の地であると同時に、戦場の最前線だった。

 

 

あれから4年半がたつ。
立ち向かうクエストは、その多くが前例のない困難なものだった。
戦友とも呼べる仲間とたくさん出会い、たくさん語り合い、たくさん別れを経験した。
全国にも同志たちとの繋がりがたくさんできて(エコセンもそのひとつ)、
尊敬する師匠もできた。気づけば、大切な家族も増えた。
「復興」の中で見出した「持続可能な観光」を探求するようになってからは、
国内外の様々な土地を訪れることも多くなった。

 

ある時ふと、自分が子どもの頃に憧れていたファンタジー世界の冒険者に近い
生き方をしていることに気づいた。
ずいぶんイメージは違ったが。
タイトルにならえば、いま僕はスペシャルな旅の真っ只中にいる。

 

 

そして、僕の目の前には、新たなフロンティアが広がり始めている。
あの災厄から僕が受け取ったものは、自らのルーツとアイデンティティへの回帰でもあり、
「復興とは何か」という壮大な問いでもあり、向き合い続けたその先には、
「地球との共生」と「東北の民のアイデンティティの再興」
という新たな旅の目的が待ち受けていた。
それは果ての見えない荒野で、底の見えない闇のるつぼで、とても辿り着けない
遥か彼方の聖地かもしれない。でも歩き出さずにはいられない。
いま、時間を好きなだけ使って、世界のどこかひとつだけ、旅に行くことを許されるのなら、
僕は間違いなく「東北」をひたすらに旅する。
エミシが生きたヒタカミノクニ、縄文的なる世界、未知なる日本、
日本人の根源的世界としての東北への旅。
人類と地球との調和の手がかりを求めて。

 

【エコセン理事 / 株式会社かまいしDMC 久保 竜太】
(2019年11月27日配信 メルマガ掲載)