スペシャルな『旅の話』シリーズ 第2弾!(壹岐 健一郎)

「旅行業者としてのエコツーリズム」(前半)
自然環境保護を担ったエコツアー会社としての10年

 

先日、エコツアーカフェ100回記念イベントに参加しました。
大手旅行会社で22年勤務後、
弊社リボーンを新宿御苑前で創業してもうすぐ20年、
良くも悪くも旅行業の可能性と危険性を実感することができました。
在宅勤務に切り替えた現在、
埼玉の古民家カフェで顔の見える関係での国内海外エコツアー事例を
お話させていただきましたが、持続可能で多様な旅の楽しみ方を求める
人々が確実に増えていることを感じることができました。

 

最初の10年間は森林に関るエコツアーで走り抜けました。
国有林を活用して環境保全と健康増進を目指すスポーツイベント
森林マラソンを毎年、北海道(定山渓)と九州(篠栗)のプロデュースです。
旅行会社というよりはイベント企画会社の色彩が強くでていましたが、
毎回、1000人を越える参加者を募ることができたのは旅行業の経験と
環境(森林)保全をミッションとする当時の「セブン-イレブンみどりの基金」や
林野庁森林管理局のコラボレーションを実現できたことが理由です。
これが旅行業が繋ぎ手としてのプロデュース能力を発揮できる可能性です。
一方、サービス業としての立ち位置が、継続の障害にもなったとも言えます。

 

国内各地での森林整備、植林ボランティア体験ツアーを実施しました。
世界遺産登録を目指したNPO富士山クラブの発起人、理事としての活動は
旅行業としての役割も果たすことができました。富士山ゴミ拾いツアーは
山頂のバイオトイレ設置まで進化し、世間への啓蒙活動に役立ったと思います。

 

首都圏の里山整備に始まり、沖縄、小笠原などの動植物の外来種除去活動にも
多くのボランティアを送り出すことができました。旅はボーダレスです。
ボルネオ島の熱帯雨林や、ニュージーランドの原生林再生にも多くの
エコツーリストが参加してくれました。

 

しかし、今、気になるのは、あの頃のほうが
環境を守るためにみんな一生懸命だった?という疑問。
特に2011年以降、リボーンの仕事も変わりましたが、
人々の動きも変わってきたように感じています。

 

「旅行業者としてのエコツーリズム」(後半)
持続可能なライフスタイルの提案企業としての10年

 

2011年3月11日、日本だけでなく世界中に従来の価値観を再考する機会が生まれました。
甚大な被害を出した地震と津波は、福島原発事故という悲劇まで引き起こし、
防災意識の高まりはもちろんのこと、ライフラインに不可欠な再生可能エネルギー革命に
発展しました。

 

世界は、日本はどう動くか?そして自分自身はどう生きるべきか?
真剣に考えたことは忘れることができません。
大震災直後は経済活動を中心に日本中が麻痺しました。
旅行業は観光・レジャー産業として平和で好景気の時に賑わいますが、
困窮した時には真っ先に自粛させられるのが宿命でした。

 

しかし、「今、何をなすべきか?」と問われた時、人と地域を繋ぐ事業(旅行業)は
国内に限らず、海外も含めて明確な役割が生まれていました。
大規模にボランティアツアーがはじまったのはGW頃でしたが、その前に、
リボーンは小規模旅行社の身軽さを生かして、3月中に使命感に後押しされた
ボランティアを募り、石巻、東松島、南三陸、気仙沼に毎週天ぷらバスを走らせました。
最初は新宿区と連携し放置自転車を、らでぃっしゅぼーや等の協力で食糧を、
そして天ぷらバスの燃料であるBDF(バイオディーゼル燃料)を積み込み、
ボランティアと一緒に被災地に届けました。3ヶ月は続いたでしょうか。
そして、復旧から復興へ変わる頃、福島の被災地(耕作放棄地)の
オーガニックコットンボランティアツアーがはじまり、8年過ぎた今も続いています。
一方で、ドイツは原発停止を決定し、デンマークは世界中に再生可能エネルギー利用の
ノウハウを発信しています。その現実を日本人こそ知るべきと、エネルギー先進国への
スタディツアーを実施してきました。

 

その過程で国や大企業だけではなく、個人のライフスタイルも変わらなければ
持続可能な社会は実現しないことが見えてきました。
フランス、イタリア、アメリカ西海岸などのオーガニックライフは日本の発酵文化や
共同購入の仕組みも役割を担っていることもわかりました。

 

 

自然体験や環境保護を目的としたエコツアーは少なくなったように感じていましたが、
サスティナブルツーリズムに基づいたスタディツアーがいつの間にか主流になっていました。
気候変動に対応しなければならない現在、小さくても誠実かつ地道に事業を行う
旅行業社か必要なはずです。
若者の事業参加を期待しますが、私のようなシニアのセカンドライフとしての
事業参加も応援します!
気持ちさえあれば、自分たちでできることをやりませんか?

 

【エコセン世話人 /
有限会社リボーン<エコツーリズム・ネットワーク>代表取締役 壹岐 健一郎】
(2019年9月18日、10月2日配信 メルマガ掲載)