スペシャルな『旅の話』シリーズ 第11弾!(八木 和美)

昨年11月に、南米エクアドルに2週間ほど行ってきました。
向かった先は2つの先住民の集落。
アンデス高地のケチュア・カランキ族が住むサンクレメンテ村と、ペルーとの国境近く、アチュアル族が住むアマゾン川上流域の熱帯雨林。
彼らは、眠っている時に夢の中で見たものも実際に自分の身に起きた体験として、夢をとても大切にしています。それをその日の予言として解釈するのです。
アンデスでは、コミュニティの薬草園にいく予定の日の朝、「今朝、崖から子ヤギが落ちる夢を見た」と中止になりました。
アマゾンでは毎日、まだ真っ暗な午前4時頃に家族全員が起きて、火を囲んで見た夢の話をします。
その前に、大きな鍋でワユサという植物の葉からお茶を作り、お腹いっぱい飲んで、胃の中に残っている未消化のものを一緒に吐き出して体調を整えます。
結婚などの大切な話は、この朝のお茶の時間にするのだそうです。
私たちもその時間を体験するため、まだ真っ暗な朝にヘッドランプを点けてある家に向かいました。
暗がりでワユサティを飲んだ(吐いた)あと、それぞれが今朝見た夢を話すと、その家の家長が今日起こるだろうことを解釈してくれました。
たとえば私が、迷子の子猫を見つけたので、つかまえようとしたけど逃げられた夢をみた、というと、「アチュアルの子どもは恥ずかしがり屋だから、仲良くしようとしてもかくれてしまうかも」というように。
そうこうしているうちに、ゆっくりとあたりが明るくなって、ニワトリたちが起き始めました。
眠っている時に見た夢を覚えていることはほとんどありませんでした。
まして、家族と毎朝、見た夢をシェアするなんてありえないことです。
帰国後、ささやかなことで家族と口論になった時に、早朝の静かで豊かな時間を共にする習慣があるだけで日常の平和を維持できるのかも、と思うようになりました。
なかなかそんな習慣にはなりませんが、なるべく夢を覚えていようと意識しています。
アマゾンの熱帯雨林は、地球上の酸素の2割を生み出す「地球の肺」で、多様な動植物が暮らす楽園だといわれています。
日本に住んでいると、ジャングルの地下には膨大な石油が眠っていることや世界中の石油メジャーがそれを虎視眈々と狙っていることはあまり知られていません。
過去に、ずさんな石油開発事業によって「南米のチェルノブイリ」と呼ばれる汚染問題が発生し、今なお、土壌汚染や健康被害に苦しむ人たちがたくさんいるのはなおのこと。
アチュアルの人たちは、夢を通じて自分たちの環境に危機が迫っていることを感じ取り、アマゾンの環境保護と先住民の自律のための解決策を西洋社会の人たちに求めました。
そのメッセージを受け取ったジョン・パーキンス氏ら数人の米国人たちは、「パチャママアライアンス」というNGOを立ち上げ、西洋社会に住む人たちの夢(幸福の価値観や思い込み)を変えるためのプロジェクトを始めました。
ワークショップと並行して行われているのが、アマゾンの現場で学ぶラーニングジャーニーです。
パチャママジャーニーについてはこちら。

私が滞在したKapawi Lodgeは、アマゾンのエコロッジの草分け的な場所です。
米国の企業がアマゾンツアーを開始するためにこの地に建設する際、建設費用と土地のリース代を企業側が負担することと、運営のノウハウもアチュアル族に15年をかけて移譲することが取り決められました。
現在、すべての施設の所有と運営の権利をアチュアル族が担っています。
私たちのコーディネーターで、その誕生に尽力したダニエル・クーパーマン氏は、西洋社会がいかに母なる地球と分断した世界に生きているのか、いかにこのような施設が必要とされているのかを理解してもらうために、84のアチュアルのコミュニティを1年半をかけて回り、対話を続けました。
その時、世界主要都市のマンションなどに住む人たちの写真を見た彼らは、寝ている部屋のすぐ横にトイレがあることに驚き、「こんな狭いところでどうやってニワトリや生きものを飼うのだ」「なんて気の毒な人たちなんだ」と言ったそうです。
「災害教育」は、災害の現場に立ち、場が持つインパクトからの学びを未来に役立てることを目指しています。
旅も同じように、その場に立つことで自分の価値観や暮らしのあり方に、大きな気づきと問いを与えてくれます。
現場でしか学べないことを求めて、今年もなるべくたくさんの旅する時間を持ちたいと思っています。
【エコセン世話人 / RQ災害教育センター運営委員 八木 和美】
(2020年2月19日配信 メルマガ掲載)
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