MATAGIフォーラム(2018.9.1-2)報告
9月1日2日に、東京御徒町(おかちまち)モンベルでMATAGIフォーラムを開催しました。
そもそもMATAGIとは、何か?
⇒東北地方・北海道から北関東、甲信越地方にかけての山岳地帯で、大型獣を捕獲する技術と組織をもち、狩猟を生業としてきた人を指す。
今回のフォーラムでは、シンポジウム「森の恵みを生活に活かす~シカ・イノシシの皮を価値ある資源に~」や「生木を削ってスプーンをつくる~グリーン・ウッド・ワーク~」、各種ワークショップを行いました。
展示の様子です。
シンポジウムの様子です。(学生さんの感想文は一番下に)
スプーンづくりの様子です。
講師の井丸さんの指導のもと、参加者のみなさんは長時間黙々と木を削っていらっしゃいました。
一番下左側の写真は、参加者の方が作ったものです。
他にも、様々なワークショップが開かれました。
会場のあちこちで、鹿皮・イノシシ皮を使った商品についての話で盛り上がっていました。
エコセンのインターン生も出展者に話を聞いたり、シンポジウムでメモをとったり学びを深めました。
ご出展いただいたみなさん、シンポジウム・ワークショップにご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
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MTAGIフォーラム シンポジウムに参加して 感想文 (インターン生)
MATAGIフォーラムのシンポジウムでは、狩猟・駆除の現状、山野の恵みとしての動物の価値、皮を活用することへの思いなどを伺うことができました。
獣害の問題は年々広がっており、今では国の目標として、シカの数を半数に減らさないとバランスが取れないといわれているそうです。その被害は甚大で、農家の被害額は約90億にものぼるそうです。シカやイノシシの狩りは、楽しみとして行われる狩猟から農地や山の被害を少しでも抑えるための業務となっています。一人で何百頭も駆らなければならないため、駆除で狩った動物は証拠品だけとって、後の死骸は山に捨てるというハンターの方が多いそうです。
そのため、駆除のために狩った動物をわざわざ別に利用するということを一般的なハンターの方は考えないそうです。佐々木さんは、ほかの猟師さんに狩った命を利用することの意味を理解してもらうまでに10年以上かかったとおしゃっていました。
シカやイノシシを狩ることがお金になるという制度が出来てから、いままで楽しんで行うものだった狩猟から、お金を稼ぐための業務へとその目的が変わったのではないかと思いました。それと共に、生き物と人の関わり方も変わり、いままで尊重していた動物の命の扱いを軽視するように変容していったのではないかと思います。
しかし、このフォーラムでお話しされていた方々や出展者の方々は、生き物の命を尊重し、有効に使うことを考えて、狩った動物の皮を使った製品を作っていらっしゃいました。
仕事として狩らなくてはならないから狩るのだとしても、狩った命を山に捨てるのではなく、有効に使っていく人や、その製品を選ぶ人がもっと増えていけたら少しでもこの問題の解決につながるのではないかと思いました。
シカの駆除は、面白いからやっているのではなく、誰かがやらなくてはいけないことだからやっていることで、今後も増え続ける獣害に対して狩猟を行い続けていくしかないそうです。しかし、「生き物に対して、感謝して関わり続けることに意味がある。」と、佐々木さんはおっしゃっていました。
普段の暮らしの中で、直接的に獣害の問題に関わる機会はありません。しかし、今回のフォーラムを通して、日常的に食べる農作物の生産の裏側には、この問題と戦う農家や猟師の方々の苦労や、命と向き合うということへの思いがあるのだということを考えるきっかけになりました。
今後、獣害の問題に対して真剣に命に向き合う人たちの活動を意識し、この問題に対して少しでも貢献できるように、MATAGIプロジェクトの製品に注目していきたいと思いました。