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イトヒロの東京不自然図鑑

<月イチ連載>

2004年4月1日up

 新宿から電車で10分。住宅地とはいえ、東京のど真ん中ともいえる世田谷にも自然があります。というより、都会でしか見られないような自然もあるのです。一般常識から言えば不自然とも思える東京の自然最前線を、お散歩がてらご紹介しましょう。

第10回「モンシロチョウ」

 

 春の白いチョウといえば、モンシロチョウとだれもが思い浮かべるはずです。たしかにひと昔前までは、モンシロチョウは東京のどこででも簡単に見ることができました。
 ところが最近の事情はちょっとちがいます。白いチョウならモンシロチョウだとばかり思ってよく見ると、羽根のすじがよく目立つ、モンシロチョウによく似たスジグロシロチョウです。このスジグロシロチョウは、スジがはっきりしたものでは全体が真っ白というより、ちょっとくすんで見えます。春の典型的な風景といえる、菜の花畑にモンシロチョウのコントラストにはおよびません。
 このスジグロシロチョウが増え始めて、都会のシロチョウはいつの間にか入れ代わってしまったのです。とくに都心では、モンシロチョウはあまり見られなくなってしまいました。
 もともとスジグロシロチョウは日本在来種のシロチョウで、有史以前に大陸から渡ってきたモンシロチョウのほうが帰化種といわれています。森林の多かった昔は、涼しくて日影を好むスジグロシロチョウが優位を誇っていました。しかし、明治時代になって森林が切り開かれ、輸入作物のキャベツなどの畑に変わってしまうと事態は一変したのです。スジグロシロチョウは残った林の周囲に追いやられ、陽当たりのよい畑ではモンシロチョウが大発生するようになりました。こうして、白いチョウといえばモンシロチョウがおなじみになったのです。
 ところが、昭和30年代のオリンピックを機に急激に人口が増加しはじめた東京では、急速な都市計画がすすめられました。畑は整地されて住宅になり、都内ではどんどんビルが建設されました。そのために、日なたを好むモンシロチョウは次第に住みかも食草も追われ、だんだん数を減らしていったのです。
 こうして、大きな建物が多くなって日陰が増えると、今度は再びスジグロシロチョウが勢力を盛り返してきました。これまた皮肉な話ですが、30年ほど前から東京で野草化し、線路添いに増えはじめた帰化植物のハナダイコン(ムラサキハナナ/オオアラセイトウ)を食草として、スジグロシロチョウは都心にも勢力を伸ばしてきたというわけです。
 なんとなく日陰を好んでひらひらと都心の生け垣を飛んでいくのは、みなさんが思い込んでいるあの有名なモンシロチョウではありません。いまでは東京の白いチョウといえば、スジグロシロチョウがおなじみさんなのです。
 


お知らせ

イトヒロの草野球本第2弾ができました!

 

学習研究社

学研スポーツブックス
からだで分かっちゃう草野球
著者:イトヒロ
 164P
ISBN:4-05-402025-9 NDC:0075
定価(税込):1,260円

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イトヒロからのメッセージ

 ダルビッシュのノーヒットノーラン、新庄のバント、そして松井の凱旋ホームランで幕を開けた2004年日本の野球界ですが、そんな表舞台とは別世界の草野球界もいよいよ開幕です。
 現役草野球プレーヤーのみなさん、今年は草野球シンクロ打法、かかと打法で仲間をあっと言わせてみませんか。
 イトヒロ8年ぶりの草野球本第2弾「からだで分かっちゃう草野球」は、学研スポーツブックスより3月29日に発売しました。東海林さだおさんの草野球的ファインプレー表紙イラストが目印です。
 ただの実用書ではありません。草野球は個人のスポーツですから、チームの勝利よりも自分自身のパフォーマンスが大事。楽しく読んで、練習もせず、チームメートを出し抜くコツが分かってしまうご禁制品です。その他、草野球の御法度、3T(つらい、つかれる、つまらない)を覆す、楽しいだけの実践草野球を提案しました。テレビを離れて、これからやってみようかという草野球ビギナーの方にも、いきなりお読みいただける内容です。どうかご一読ください。
 草野球27年のいいとこどりエッセンス、よろしくお願いします。

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イトヒロ:少年時代の穴蝉とり名人にして東南アジアバックパッカー経由、草野球迷三塁手のイラストレーター。著作に「からだで分かっちゃう草野球」(学研)、「不思議の国の昆虫図鑑」(凱風社)、「草野球超非公式マニュアル」(メタ・ブレーン)、「旅の虫眼鏡」(旅行人)など。雑誌「子供の科学」に「イトヒロのご近所探検隊」連載中。