スペシャルな『旅の話』シリーズ 第7弾!(辻 英之)

先日、福岡空港から松本空港への飛行機に乗った。
松本空港は信州唯一の空港。
便数が少ないのであまり使わない。
いや、使えない。
でも、駐車場が無料だったり、コンパクトな空港が快適だったりと、
意外に使い勝手は良い。
この空港の最大の魅力は、展望だろう。
なにせ、アルプスをはじめとした中部山岳に囲まれた街だ。
らせん状に高度を上げ下げするフライトから見る景色は
正直映画よりおもしろいと想う。

 


進行方向左側の窓に座った。
眼下に山口県や広島が見えたと想うと、四国愛媛を横切る。
「しまなみ海道がきれいに見えます」と機長からアナウンス。
そのうちに瀬戸大橋上空、明石海峡大橋上空とすぎる。
神戸市上空を通ると、大阪の大都市圏が見えてきた。
琵琶湖上空からは、私の故郷福井県もよく見渡せた。
御嶽山は噴煙を出しているかよくわからなかったが、大接近するので緊張感が漂う。
彼方に見えるのは白山。
こどものころ毎日見たココロの山である。
北アルプス穂高連峰から立山連邦までを、この高度から見れるのはなかなかない。
登山好きな自分のココロが昂ぶっているのがわかる。

 

昔から乗り物が好きだったと想う。
こどもの頃は特に汽車・電車が好きだったような。
でも、なんとなくだが、例えば鉄道マニアというわけではなさそうだ。
結局は、車窓が好きなんだと想う。
いつもいつも、移動の時は読書をしようか、寝ようかと想うのだけれど、
そんな場合ではなくずっと窓の外を見つめている。
流れていく景色は、二度とめぐりあえない景色だと思っている。
それは、たとえ同じ路線の同じ窓から見たとしても。

 

窓の外に流れる景色には、その土地に暮らすひとびとのドラマがある。
その土地に暮らす数多のひとびとの想いや歴史。
それが集まる街の物語に思いを巡らすことが、おもしろいんだと想う。
一度しかないその時のドラマを観ている。
そんな感じかな。

 

福岡から松本までの風景に、ひとびとはさすがに見えなかった。
でも、ひとびとが暮らす街や土地があった。
それを食い入るように眺めながら、なぜかジーンと感じ入ってる自分がいた。
おかしいんかな、自分は。
次の移動はどの路線だろうか。
窓の外に想いを巡らす旅は終わらない。

 

【エコセン世話人 /グリーンウッド自然体験教育センター代表理事 辻 英之】

(2019年12月11日配信 メルマガ掲載)