「サスティナビリティを主張!」シリーズ 第10弾(2018年8月)

三陸、釜石のある漁村に僕の祖父母の家はありました。
謂れによると、かつてはより浜辺に建っていたが、
明治の大津波で家屋が流され、
母屋がたどり着いた現在の土地で木材を継ぎ足して家を再建したとのこと。
確かに随分変わった構造の家だった記憶があります。

 

その家は、東日本大震災の大津波で全壊し、跡形もなく失われました。
まさに、津波に始まり津波に終わった家屋とも言えます。

 

僕の家系は、江戸時代以前からその土地で代々暮らしてきた土着の漁民でした。
祖父母の家の近くには、何百年もの時を刻んできたご先祖の墓石がありましたが、
それらもまた、東日本大震災の大津波で失われてしまいました。

 

ご先祖が生きてきた証を何か残したいと思った僕は、家系図を作りました。
結果として、5世代前までのご先祖達の姿を記録することができました。
その作業は、自分のルーツを知る精神の旅となり、
思わぬところで深い気づきを与えてくれました。
自分という存在は、何千年何百年と続いてきた命の連鎖のただひとつのパーツに
過ぎないのだということを。

 

今思えば、僕がいわゆる「持続可能性」や「サステイナブル・ツーリズム」を
追い求めるようになった原点は、ここにあるのかもしれません。

 

ネイティブアメリカンのイロコイ族が
「どんなことでも7世代先のことを考えて決める」
というエピソードが、よく持続可能性の象徴的に語られます。
世代を超える視点を身につけること、その感覚をいかに自分自身に実装できるか、
これはとても大事なことだと思います。
そしてまた僕は、「小さな思い」や「小さな行動」の積み重ねでしか持続可能性には近づくことができないと思っております。
自分のご先祖はどんな人でどう生きてきたのか、
そして、自分の子供や孫にはどのような未来を生きて欲しいか。
何事もまず身近なところから。
そこに、サステイナビリティへの小さな、しかし確かな一歩がある気がします。

 

【エコセン理事 / 株式会社かまいしDMC /
釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)久保竜太】
(2018年8月8日配信 メルマガ掲載)