「サスティナビリティを主張!」シリーズ 第6弾(2018年5月)

「持続可能な観光のための観光地域づくりと滞在交流型観光の構築にむけて」(その2)

 

DMOと地域の役割
DMOと地域が手を組んでいく場合、当該の地域がしっかりとして、地域共通のビジョンや取組内容を共有化することが大切です。
そして、これらの取組みを補佐することもDMOの役割になります。
今までの地域づくりと少し違うのは、人が集まる観光地域づくりの取組みだからです。
これまでとは真逆の新しい概念で、補助金に頼った事業ではありません。
もはや予算を活用する補助金行政は行き詰っている感じがあり、地域の補助金に頼る体質は変わらなければならないのです。
そして、これらは地域主導で、行政や地域の団体が一緒に進めることが大事です。
地域主導というのは地域に住み、生活を営む人達が自分たちの未来をしっかり考えると言うことです。
地域のビジョンや取組みに合わせて必要となる行政各課にある補助金を地域が選択し、活用していくのです。
これには、市や町あるいは村、これらが集まった広域的なDMOの必要性や行政組織としての変革が必要なのかも知れません。

 

事例の紹介(エコセンの地域を元気にするという事例)
日本エコツーリズムセンターが過去に発行しているブックレット「地域を元気にする地元学」の中で紹介した“阿蘇カルデラツーリズムと地元学”というものがあります。
ここでは、人が通らない、猫の子一匹いないと言われていた阿蘇市仲町通り商店街が、少しずつ地元の若者たちの努力で回復していった様子が描かれています。
現在、その商店街には年間40万人が訪れていると言われています。
これは、仲町通り商店街などの補佐をしながら、一方で阿蘇全域の仕組みを阿蘇カルデラツーリズムとして組み立てていった阿蘇地域デザインセンター(以後、阿蘇DCと呼ぶ)の役割も大きいと思います。当時はDMOという言葉は無く、今考えるとこのDMOとしての役割を担っていたのが阿蘇DCでした。
国立公園や草原景観のエコツーリズムや農村のグリーンツリズム、商店街のタウンツーリズムなどを阿蘇カルデラツーリズムと呼んで連携し、これまでの観光とツーリズムを組み合わせて、新しい仕組みとして構築していったのです。
そして、各ツーリズムの中身を吟味し、他地域と比較して「ここにだけ」という地域の特徴も発信していきました。ここで大切なのは異質(地元の地域では当たり前と捉えられている)で魅力的であり、その地域に特徴的なものが連携すれば新しい効果が発揮できるということです。
人が集まるようにするのは観光もどのツーリズムも一緒だからです。
この突破口を現在では、サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)と呼んでいるのかもしれません。
阿蘇市の仲町通りは、まさに暮らしが継続できる持続可能な地域として変身したのです。
この地域とそれらの地域が集まった全体としての統一感は、これからの地域がサスティナブルツーリズムを実践していくための大きな目標になるかもしれません。
そして、「100年先を見すえた観光地域づくり(個)」と「滞在交流型観光(全体)」の仕組みづくりにシフトする必要があると考えています。
エコセンは、専門家の集まりですから、今こそGSTC基準に関する専門家が手に手を取り、サスティナブルツーリズムを進める地域の補佐役として貢献していくための、新しい役割を担う時期でもあるのではないでしょうか。

 

【エコセン理事 /(一社)島原半島観光連盟 専務 坂元英俊】
(2018年5月16日配信 メルマガ掲載)